過ぎる日もまた 1









雪が降り続いていた。


昨日の夜半からちらちらと降り始めた雪は次第に勢いを増し、家も街並みもすっかり白く埋め尽くしてしまった。

雪の重さに耐えかねた木の枝が時折かさりと音を立てる以外は静寂な世界。

陽の落ちてきた今の時間でも窓の外は薄ら明るい。




暖かな部屋の中からイルカは窓の外を見ていた。
昼間ほどの勢いはないものの、雪が止む気配はまだ見られない。
ぼんやりと白い世界を眺めながら窓枠に手をつき、冷たいガラスにこつりと額を付けた。
部屋は暖かいのに、背筋から震えが起こり、小さく肩を揺らしていく。
窓枠につかまっている腕がなければ、身体から力が抜けてしまいそうな感覚にイルカは思わず瞼を閉じた。きつく眉根を寄せて大きく息を吐くとガラスが一気に曇る。

こんなんじゃ、いけない。

しっかりしなきゃ。あの人の出立を笑顔で見送らなければ。

明日の朝、カカシは長期任務に付く。一年か二年か、少なくとも今年のうちに帰ることはないだろう。
自分達が想いを遂げあってからまだ半年も経っていない事が、なぜだか可笑しかった。忍がずっと一つところにいられ るほうが珍しいのに。自分の覚悟があまりにも頼りないものだった事に悄然とするが、拳に力を込めて窓から離れた。
普段通りにしようと夕食を作り、風呂の湯を沸かしてカカシを待つ。

夜、いつものようにカカシが訪ねてきて。
風呂をつかって、食事をして、テレビを見ながら肩を寄せあった。
カカシがイルカの黒髪に鼻先を擦り付けるとイルカがくすぐったそうに笑うが、すぐに眉が下がって泣き笑いの表情になる。
それを見せないようにカカシの身体にもたれ掛かるとカカシの腕が絡んできた。
どちらともなく合わせた唇はひどく熱く、互いの理性を呆気なく吹き飛ばした。引き裂くように服を脱がせ合い、繰り返し口付けながら相手を感じとる。カカシの強引とも言える動きにイルカも同じようについていく。
熱に浮かされながらイルカが流す涙をカカシの唇が辿る。

「イルカ…」
「待ってる、から…」

もっと。

時間が足りない。

もっと。もっと。






明け方、雪の中をカカシが歩いていく。
カカシは振り返らないしイルカも後を追わない。
その足跡が雪で消されていくのをイルカは唯じっと見ていた。





2へ





ちょっと先行き不安。どんな感じになるのか自分でも…(涙)


(2004.02.05)






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