「黄昏」 3
「でも……ずっと…あなたの姿が見えなくて………そのまま…あなたが任務に言ってしまって……姿が見えなかったら……憶えている姿が黄昏のように消えてなくなってしまうのが早いのか…俺を呼んでくれる声を忘れてしまうのが早いか…記憶って…どっちが早いでしょうかね?」 一息にそこまで言うと…また顔を床に伏せた。
カカシは目の前で顔を伏せているイルカを見つめる。 ……抱きたいな。 ポツリと思った。 任務から帰ってから彼の目を…身体を心配していた。 怖いのだろうか? 悲しいのだろうか? つらいのだろうか? きっとその全部を思っているのだろう。
外は蒸し暑い。 その音が呪文か何かのように頭に響き…カカシは忘れていた何かを思い出した。
思い付いたら、それと同時にカカシは吸い付くようにイルカの唇に自分のものを押し当てた。 驚きで後ろに引く身体を引き寄せて腕に掻き抱いた。 唇を放すとカカシは息を切らしながら カカシはイルカの目蓋に唇を寄せると近くに転がっていた包帯を手にとった。 「目、閉じてね……イルカ先生、俺を信じてください。次、開けたときには絶対に見えるようになっているから。」 耳元で囁きながらカカシはイルカの目に再び目隠しをした。
そんな都合の良いことがあるのだろうか? でも…閉じていても開けていても景色は変わらない。 真っ暗な視界の中…カカシの指の動きだけを感じて、息使いだけを聞いて… 「信じるから…覚えていられるように……抱いてください。」 するすると脇腹を撫でならが胸の突起を口に含む。 「んっ……ふっ…んんっ……んっ。」 カカシは顔を上げ、息を弾ませながら言葉にした。 「イルカ先生の乳首、紅くなって立ってるよ。硬くなってる…ねぇ…先生…わかる?感じてるの?」 「やだ………どうして…そんな……ふうに……言う…の?」 カカシは舌でイルカを舐め上げならが興奮した息使いで答える。 「だって、先生は今、見えないんだから言葉で教えてあげないとダメでしょう。それとも目隠しとって自分で見ますか?次、目を開けたら絶対に見えるんだから。」 その自信はどこから来るのだろうか? 「あっ…あっん……あぁ……っ。」 揺れる銀髪。 長い指先。 白い肌。 綺麗に筋肉がついた身体。 見えなくても透けて見えそうなくらいカカシを感じる。 真っ暗な視界に浮かび上がる…残像、黄昏のようなカカシ。 中心に溜まる熱。 不意打ちのように最奥に指を差し込まれてイルカは悶えた。 「先生…もう、欲しい?ねぇ…先生。」 「あっ……ふぅ……ぅふ……んっ。」
その時、スッと目の前に光がさして真っ白になった。 目を覆っていた布が取れたのだ。
短く息を吐きながら、何度も瞬きを繰り返し…顔を上げると……。 めずらし汗だくになったカカシの顔が見えた。 「見えた?イルカ先生。」
何が起きたか分からない。 暗闇だった世界が、カカシの笑顔と一緒にいっきに明るくなったのだから。
イルカが上がる息でボンヤリとうなずくとカカシは短く答えた。 「よかった。」 「イルカ先生、イルカ先生。」 と呼びながら腰を揺すり動かしてきた。 「あっ…やっン……まっ……。」 待ってと言えなくて、何が起きたかも分からなくてイルカが再び目を閉じるとカカシが自分の中で放ったのを感じた。 声と匂いと感覚と…… 表情を見ることができて感じた。 その顔を見て自分も彼の腹の上を汚した。
再び目を開けると銀髪が見えた。 肩口に揺れる銀髪。 「………見える。」 さっきまでの暗黒が嘘のように消えて無くなっていた。 昼間なのに畳みの上で、しかも裸で抱き合って… イルカがグイグイと目を擦ると覆いかぶさっていたカカシが起き上がりその手首を掴んで止めた。 「あのね、暗示をかけられたんですよ。イルカ先生は。」 「暗示?」 「先生が授業でつかった薬草ね、あれ分量を間違えると暗示効果が強くなるんです。 焦点が会ったイルカの瞳がカカシを写す。 その顔があまりにもいつものイルカなのでカカシは思わず笑った。 「教科書にはそんなこと書いてなかったですよ。本当なんですか?」 「文面にはないこともあるんですよ、経験です。俺の。」
夏の風が窓から入り込み風鈴を鳴らす音が聞こえる。 その情景は瞳の奥で考えていたよりもずっと暑くてまぶしかった。 イルカは少し俯きながら口を開いた。
「ありがとう…ございます……治してくれて…。」 その言葉に目を細めるとカカシはイルカの手を引いて立ち上がった。 「風呂、入りましょうよ〜あっついです。汗ながしたら昼飯食べて残りの夏休みの予定をたてましょうね。」
見えても見えなくても同じカカシの掌の感触。 脳裏の奥に見えていた黄昏のカカシは今そばにいてくれる。
それがどこか、こそばゆくて……まともに顔を見ることができなかった。 END 2004/08/26 77777hitをふんで下さった「ととまさ様」からのリクエスト「一時的に目の見えなくなるイルカ←カカシ」 でした。 無駄にラブい…二人。へたれカカシも好きですが。紳士なカカシも好きです。(このカカシはそうでもないけどな) 「桜森祭」様でキリ番を踏んで書いて頂いたものです。自分でリクを出した癖に、 途中イルカ先生と共に心細くなった私です…(汗)←オマヌケ。 麻利妹様、ステキな作品をどうもありがとうございました! |
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