遠吠え








最近俺はよくはたけ上忍に睨まれる。

あの人がナルト達の上忍師に決まったので挨拶をしに行ったのだが、どうやらそのときに握手をして以降、いつもいつも険しい顔で睨まれているようだ。
何か気に触ることでもしたのだろうかと、何度考えても特にはなにも思い出せなくて困った。
受付所での任務時間をずらしてもなぜか必ず会ってしまうので、ここのところ胃の痛い思いをしている。
やっぱり三代目にお願いして、受付所の仕事は今後できるだけ外してもらおう。


三代目の執務室へ行き、説明をどうしようと困りながらもその旨伝えていたところへ、件の上忍が入ってきた。

あー、くそ、なんてタイミングの悪い。

理由は、と問う三代目への返答は、イルカの口の中でもごもごと留められた。
カカシは口を噤んでしまったイルカと三代目を交互に見ると、
「あー、おじゃまでしたかね」
と言いながら、カリカリ頭をかいた。

「お主の用件はなんじゃ」
キセルから煙を吐いて火影が尋ねた。
カカシは一瞬晒した右目を思案する風に泳がせたが、イルカにヒタリと視線を向けた。
「ま、ちょうどいいか。実はね、この人のことなんだけど」
目の前で指差されてイルカは憮然とする。

「受付、辞めさせてください」

「なっ、なんですかっ! あんたが俺のこと気にくわないからって、いくらなんでも横暴だっ!!」
自分から辞めようとしていた受付任務だが、向こうから言われると無性に腹が立って、イルカはこめかみに青筋を浮かばせた。

「どういうことじゃ、カカシ」
頭から湯気を出すイルカを制して火影が問う。

「どうもこうも」
カカシが乗り出して、火影の机をバン! と叩いた。



「もーねー、危なくてしょうがないんですよ」

「この人ときたら、来る奴来る奴皆に笑顔全開で愛想振りまくから、
中忍上忍暗部関係なく狙われまくりなんですっ!」

「こんなかわいい人は表に出しちゃダメですっ!」

「俺がいくら目を光らせててもキリがありませんっっ!!」



喋りはじめた上忍は次から次へと止まらない。
イルカはクラクラする頭を押さえながらそれを聞いていた。

(それって…、俺が今迄睨まれてたのって…)


眉をハの字にしたイルカを見て火影が口を開く。

「カカシよ、お主が一番アブないのう」

こくこくと頷くイルカを見て、カカシは意外だという顔をした。

「なんでです? あっ! 火影様が相手でも容赦しませんよっ!」


火影まで威嚇する上忍はまるで吠えまくる犬のようで。
意識の遠くで上忍がまくしたてるのを聞きながら、どうやら自分は大変な事になってしまった、と、イルカは天を仰いだ。





<END>







カカシのイルカ先生に対する意識は忍犬並み?口寄せくらい軽くこなしそうです。
イルカ先生のこめかみがピキーンとなるとこが好き(笑)

(2004.02.02)






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