‖|||‖スウィート‖|||‖





「あれ、飯の後に何食べてんです?」

イルカが食後の茶を入れている間に、カカシが何かを口にしていた。
「んー、サクラがね、くれたんです。俺、明日は任務でいないんで」
サスケにやるのの毒見ですよー、と笑う。

可愛らしい箱に入ったチョコレートを見て、イルカは苦笑する。
「ああ、あれですね、バレンタイン。サスケなんて、甘いもん食べられないのになぁ」
「はぁ〜? そうなんですか? サクラの奴、情報収集能力に問題ありだなー」
「あはは、それを知ってても、渡す事に意義があるみたいですよ?」
カカシにコーヒーカップを渡しながらイルカが言う。
「カカシ先生は、案外甘い物好きですよねぇ」
「んー、そうですね。イルカ先生、俺にもチョコ下さいね」
「なんで俺が菓子なぞ作らにゃならんのです」
ずいと手を差し出すカカシにげんなりした顔で答えた。
「やっぱりダメ? ま、手作りとは言いませんよ?」

「あんた飯以外にも俺にたかる気ですか」

イルカが青筋をたてると、その口にカカシがチョコを一つ放り込んだ。
「はい。疲れた時には甘いモンが一番」
「誰のせいレスカ」
口に広がる甘みに、気を緩めながら反論する。サクラの手作りだというそれは、思ったより口当たり良く、口の中で溶けていった。サクラのやつ、かなり気合入ってるなぁ。

「結構うまいもんですね」
目を細めていうと、カカシがクスリと笑った。もう一つ手に取ってイルカの唇に近づける。

「そう、美味しい?」

言いながらゆっくりと指ごとイルカの咥内に押し込んでくる。

「んっ、な、に」

カカシは思わず後退りしたイルカの腰に片手を巻きつけて、逃がさないように引き寄せた。
咥内の指は菓子を放して舌をくすぐる。そのまま上顎を撫で上げて、ぬるりと唇を濡らした。

「やめ、」

突然の行動にイルカの鼓動が高まる。舌に乗った甘みのせいで、うまく息が継げない。

「俺にも頂戴?」

カカシの唇が重なってくる。入り込んだ舌が、甘みを掬い取り、絡めていく。濡れた唇を軽く噛んで吸い上げる。
まったく余裕のない状態でイルカは一方的に翻弄されていた。
胸がドクドクと煩い。カカシの触れた処がチリチリと熱を孕んでくるのを、どうしようもない程感じていた。

 おかしい。
 こんな熱はおかしい。

力の入らない腕で、カカシの胸を押すと、楽しげに微笑まれた。
「ね、効いてきた?」

 はっ、何を…。イルカは廻らない頭で考える。まさか、まさか?

「あ、何、入れたっ?」
「へへー、いいモノ」

少しも悪びれずにカカシが答えた。

 …っ、このヤロっ…

身体が言う事をきかない。腰に力が入らず、座っていた座布団からごろりと転がされて、カカシの顔が迫ってきた。

「たまには恥ずかしいってキモチ捨ててよ」

カカシが勝手な事を言いながら服の下に手を入れてくる。
やめてくれ、ああ、でも。




* * 




途中で意識を飛ばしてしまったイルカは身じろぎもせずに眠っている。少し眉間が寄っているのは俺のせい、か。
昨夜のイルカは思い出しても嬉しくなるような姿をたくさん見せてくれた。自分から動いて、堪らない表情で強請ってきた。自分の方が我慢できず、かなりの無茶を強いたので、今日は動けないだろう。
ま、それも狙いだったケド。
イルカは毎年結構な数のチョコを貰っている。義理はともかく本命なんて以ての外だもんね。

暖かい温もりに離れ難かったが、もうそろそろ出掛けなかれば。
イルカの唇に軽く口付けてカカシはそっと寝台を出た。

水を飲もうと入ったキッチンのテーブルに、小さな赤い箱が乗っていた。
「あ…」
匂いを嗅いでカカシは口元を緩ませた。

「イルカせんせー…」

俺も情報収集能力に問題ありかもね。

なぜイルカは食後にいつものお茶でなく、コーヒーを持ってきたのか。
こりゃ、帰ってきたらイルカは相当拗ねているだろう。



思い返してカカシはひとり微笑んだ。






(2004.02.12)




頑張ってできるだけ甘〜くしてみました。これでも(笑)
もしかしたらごにょごにょ部分をおまけでつけるかも?

(2004.02.13)
おまけつけました。苦手な人はさがさないでね。

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